10月になると、街中で見かける樹木やお花もすっかり秋の様相を呈してきました。夏の間、お庭を彩ってくれていたお花たちも見頃を終えてきた頃ではないでしょうか。
これからは春の花壇の準備をする時期となりますが、「春に美しくお花を咲かせたい」、「 なんだかお花が元気に咲かなくなってきた」とお悩みの方は是非この記事を参考にしていただけたらと思います。
土づくりとは
そもそも土づくりとは何かというと、植物が育ちやすい環境を作ってあげることを言います。
植物が育ちやすい環境とは何かというと二つの要素があります。
- 植物に必要な栄養素が過不足なく揃っている
- 土が団粒構造となっている
植物に必要な栄養素が過不足なく揃っている
植物が必要とする栄養素には、植物の成長に欠かすことのできない必須栄養素、次いで必要量が多い中量要素、必要な量が少ない微量要素があります。
特に重要なものは、窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)の三つの必須栄養素で別名は三大栄養素とも言われています。
主な働きは以下の通りです。
名前 | 主な働き | 欠乏症状 | 過剰症状 |
窒素(N) | 葉・茎・根の生育を促進 | 成長不良 | 徒長して弱々しくなる 花や実がつきにくくなる |
リン酸(P) | 開花・結実を促進 | 花数が減少、発根不良、 結実が遅れる | 症状は出にくい |
カリウム(K) | 根の発達を促進。病害虫や寒さに対する抵抗力をつける | 根腐れしやすい 果実の味や外見が悪くなる | カルシウム、マグネシウムの吸収不良 |
土づくりの段階で、元肥(植物を植える前に土に混ぜ込む肥料)をあげることで栄養素を補給します。
販売されている肥料のパッケージには「元肥用」とか「追肥用」(後から追加して肥料をあげること)と記載があるので用途に合ったものを購入するようにしましょう。
使い分けるのが面倒ならどちらでも使えるものがありますので、そういうものを選ぶといいかもしれません。
栄養素がバランスよく含まれている土が植物にとってのいい環境だよ
土が団粒構造となっている
団粒構造とは土と土の粒子の間に適度な隙間がある状態のことを言います。
よく言う、「水持ちがよく水はけがいい」と言われる状態のことです。栄養素の他に植物の成長に欠かすことの出来ない空気や水が不足することなく供給され、土が柔らかいので根の成長が促進されます。
土をぎゅっとにぎると固まって、つつくと崩れるくらいの状態のことです。
これは微生物の働きによるもので、土壌改良の効果がある堆肥などを混ぜ込んであげることで実現します。
土壌改良剤にはバーク堆肥や牛ふん堆肥などがあるよ
準備するもの
土づくりに使うものは人によって違うと思います。ひとえに堆肥や肥料と言ってもいろんな資材が販売されていますので、ここでは私が実際に用意して使ったものを紹介します。
いつもガーデニングで使うもの
スコップ(大、小あると便利)
軍手
ふるい(必須ではない)
プラ舟(必須ではない。ブルーシートでも可)
土づくり特有のもの
バーク堆肥
牛ふん堆肥
石灰(すぐに植物を植えることができるタイプ)
元肥用肥料(マイガーデン)
鹿沼土(赤玉土でも可)
油粕
作業の流れ
土づくりの作業の流れは以下の通りです。
① 植えているお花を抜く
② 土の量を調整する
③ 残った根やゴミを取り除く
④ 堆肥、鹿沼土、石灰、元肥を混ぜ合わせる
⑤ 花壇周りを掃除
⑥ 花壇の土に水をかける
順番に説明していくよ!
① 植えているお花を抜く
夏の間にお庭を彩ってくれたお花を抜いていきます。
まだまだ綺麗に咲いていて、このままでもいけるんじゃないかと思う時もあると思います。
住んでいる地域によっても違うとは思いますが、私が住んでいる福岡では10月末から11月中旬くらいまでには春の花壇の準備を始めた方がいいと思います。
本格的に寒くなる前に春のお花を植えてあげると、年内でも新しいお花を楽しむことができます。
私の家の花壇は切り戻しをせずに徒長したところを台風でやられてしまったんで、マリーゴールドなんかは太い幹が折れてしまっています。
トレニアも伸びすぎてしまってだらしない感じになっているので、本当に切り戻しは重要だと実感しました。
なるべく根についた土を落としながら抜いていきます。
地域によるのかもしれませんが、土はゴミで出すことができません。土の処分については私が住んでいる市のHPでは造園業や土木業者に相談してくださいと記載がありました。
正直困りますよね・・・。
特に狭い庭だったり、ベランダでガーデニングを楽しんでいる方にとっては共通の悩みだと思います。
なるべく土は再生して使う方向で考えていきましょう。
お花を抜き終わった状態が上の通りです。
お花を植えてあった際の芝生が伸び放題だったので綺麗にカットします。
芝生とお花の境目を綺麗に保ちたいならレンガで囲ったり、芝生ガードを使うといいよ
② 土の量を調整する
次に土の量を調整します。
これは何かというと、今から堆肥や鹿沼土を花壇に投入していくのでそのまま入れてしまうと花壇から土が溢れてしまいます。
そのため、投入する分と同じ量を予め用意しておいたプラ舟に移します。
移した土は後でプランターの土と併せて土づくりして、改めてプランターの土として使用します。
プラ舟一杯分くらいを目安に土を移すよ
③ 残った根やゴミを取り除く
取りきれなかった根っこや枯れ葉などのゴミを取り除きます。
取り除くものが少なそうだったら手で取るだけでいいかもしれませんが、できればふるいを使ってゴミを全部とってしまいましょう。
株元には知らないうちに花がらとか落ち葉がいっぱい溜まってるよね
④ 堆肥、鹿沼土、石灰、元肥を混ぜ合わせる
土づくりのメインの堆肥等を混ぜ合わせる作業に移ります。
お花が咲いた後の土は団粒構造(ふかふかな良い土の状態)でなくなっていたり、雨の影響で酸性に近づいていたり、肥料分がなくなっていたりします。
このままお花の苗を植え付けても元気よく成長してはくれません。
投入する資材には以下の役割があります。
資材名 | 役割 |
バーク堆肥 | 土壌改良剤。土をふかふかにします |
鹿沼土 | 水はけをよくします |
石灰 | 土は雨の中で放っておくと酸性に近づいていきます。そこでアルカリ性の石灰を入れて中和します |
元肥・油粕 | 栄養素を補います |
我が家では、今よりも水持ちを良くしたかったので堆肥を多めに投入しました。水はけをよくしたいなら鹿沼土(赤玉土)を多めに投入してあげるといいですよ。
ちなみに最初は赤玉土を入れようと思っていましたが、鹿沼土の方が安かったのでこちらを入れました。どれくらい差があるかは正直比べたことがないのでわかりません(笑)
それから写真を撮り忘れてしまいましたが油粕も投入しました。
必要なものを全て投入したらなるべく下の方から均一になるように混ぜ合わせます。
ゆっくり混ぜ合わせないと花壇の外に土が飛び散って掃除が大変になるから注意しよう!
⑤ 花壇周りを掃除
気をつけて作業をしていても花壇周りは汚れてしまいます。
箒で綺麗に掃除しましょう。
箒では完全に土を掃除しきれないと思いますので、ホースの水圧で押し流してあげたら綺麗になります。
掃除が終わったら土づくりの完了です。
お花を植え付ける時期についてですが、よく「石灰を撒いてから2週間ほど待ったほうがいい」とか、「有機肥料を混ぜ込んでから2週間ほど待った方がいい」と言われます。
石灰については、消石灰を入れた場合アルカリ性が強すぎるため、また土を中和するのに時間がかかるためです。
解決策はパッケージにすぐ植え可能と書いてある石灰を選ぶことです。
また、堆肥についても完熟であればすぐに植え付けても問題ありません。未完熟の場合はNGです。土に混ぜ込んだ後で発酵が進み、その際に出る熱の影響で植物の根が傷んでしまうためです。
解決策は完熟のものを選ぶことです。ただし、こちらは製品の品質の問題です。未完熟のものは葉や枝などの原型が残っていたり強い匂いがあるのでそこで判断するようにしましょう。
それでも不安な場合は土づくりから1週間から2週間ほど時間を置いて植え付けを行いましょう。
さいごに
土づくりについて紹介しましたがいかがだったでしょうか。
自分の花壇の状況によって混ぜ込む資材の量の調整が必要になりますのが、初めのうちは目分量でも構わないと思います。
まずは試してみることが重要です。
時間をかけて準備をしたお花たちが春に満開となる様子は、とても感慨深いものです。
少しでもこの記事がみなさんのお役に立てたら嬉しいです。
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